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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第3章 交錯する想い




「零から?」

「いや、天からだ。珍しいな、どうしたんだろ」


百は不思議に思いながら、通話釦を押した。
通話口から聞こえてきた天の声は、いつもの冷めた声じゃなくて、どこか慌てているような、そんな声だった。


≪百さん、急にすみません。今大丈夫ですか?≫

「おー!天から電話なんて珍しいっ!なにかあった?」

≪すみません。零……、さんと連絡って取れてますか?≫

「零?急にどうしたの?さっきまでラビチャしてたけど、ここ一時間くらい返事きてないよ。零がどうかしたの?」

≪……何してるかとか聞いてますか?≫

「え?んーと、最近できたアイドルの友達と飲みに行ってるみたいだけど……」

≪!誰ですか!?≫

「山南梢って子……天、どうし――」

≪場所は?場所はどこですか?≫

「……ちょっと天、落ち着いて。どうしたの?」

≪……零が……もしかしたら危ない目に巻き込まれてるかもしれないんです≫

「!?なにそれ、どういうこと!?説明して」


百が慌ててそういえば、通話口から≪おい、天!早くしろ!始まるぞ!≫と、楽の声が聞こえてきた。


≪っ……すみません、事情は後で話します。百さん、場所ってわかりますか?≫

「……詳しい場所はわかんないけど、西麻布のクラブってことだけはわかってる。情報集めてすぐ向かうよ。場所がわかり次第天にも連絡いれるね」

≪お願いします……こんなこと頼んですみません。インタビュー終わったらボクもすぐに向かいます≫

「オーケー」


百は電話を切って、急いで上着を羽織り、帽子を被ってマスクを装着した。


「モモ、どうした」

「ユキごめん、事情は後で話す。オレちょっと出てくるからさ、おかりんにうまくフォローいれておいて」

「……わかった。一人で大丈夫か?」

「大丈夫!また連絡する!」

「待ってる。気を付けて」


千の心配そうな視線を背に、百は楽屋を飛び出した。


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