第3章 交錯する想い
「はあー……」
「どうしたの、モモ。ため息なんて吐いちゃって」
収録を終えたRe:valeの楽屋では、百が机に突っ伏して携帯を見つめながら長いため息を吐いていた。そんな様子を気にしているのかいないのか、千は台本を読みながら訊ねた。
「何かあった?」
「ユキ……オレの可愛い零が……夜遊びしてる……」
「夜遊び?あれ、今日零と焼肉行くって言ってなかった?また振られたの?」
「……傷口抉るようなこと言わないで!」
「そうね。ごめんごめん。それで、零は百とのデートを断って夜遊びしてるんだ、百のラビチャを既読無視して」
「……う……わかりやすくストレートに言わないで……」
「それにしても零が夜遊びなんて珍しいね。誰の影響?」
「本当だよー。この前、オレたちの番組に出てた子。えーっと、山南梢ちゃん!」
「?誰だっけ」
「ほら、先週ゲストで来てくれたじゃん!あのふわふわ~ってしててアイドル!って感じのさ!」
「……うん、そんな子いたような気がする。」
千が人の名前を覚えないことなんて、日常茶飯事である。百は再びはあ~とため息を吐いてから、携帯を確認する。零からのラビチャが来ていないことを確かめてから、携帯を机に放り投げた。
「……零なんてもうしらないっ!」
「くく……っ……モモ、恋する乙女だね」
千がくすくすと笑っていれば、百の携帯の着信音が鳴った。
百が慌てて携帯を確認すれば、画面には意外な人物の名前が表示されていた。