第3章 交錯する想い
百との電話を切れば、丁度梢がこちらに戻ってくるところだった。
「それじゃあ行きましょー!」
『うん!』
やたらとテンションの高い梢と共に、エスカレーターに乗ってスタジオのエントランスへと向かう。そこで、見慣れた人影を視界の端に捉えた。
「――あ!零さん!」
名前を呼ぶ声に、零は目を見開く。反対のエスカレーターに、TRIGGERの三人が乗っていた。こちらに気付いた龍と楽が嬉しそうに手を振っている。零も慌てて手を振り返す。天はというと、大きな目を更に見開いてこちらを見つめていた。
『………(天、どうしたんだろ……驚いたみたいな顔して)』
いつもは絶対目なんて合せない癖に、エスカレーターから乗り出すようにしてこちらを見つめているのだ。
「……早く行きましょ!もうタクシーついてるみたいです!」
『あ……うん!』
梢に腕を引かれ、零は早足でスタジオを後にした。