第21章 もう一度ここから
『あのね、百。私が初めて一生懸命をしたのはね、天じゃない。……百だったんだよ。』
「―――……!」
『確かに、天のことを、全部完璧に忘れられたわけじゃない。完全に忘れるなんて、これからもたぶん無理だと思う。すごい勝手だってわかってる、でも――』
―――それでも。
『私は百と一緒に、百の隣で、生きていきたい。それはあの日、百が想いを告げてくれた時から変わってない。でもね、一つだけ、変わったことがあるの』
「………」
『…百のこと、友達として好きなんじゃなくて。ひとりの男の人として好きなんだって、ちゃんとわかったってこと』
「え……?」
『好きだよ、百のことが。録音なんて必要ない、百が望むなら、何度だって言うよ。あなたを愛してる。誰よりも、何よりも」
「―――・・・」
――――目の前に、涙ぐみながら笑う零がいる。
君越しに目に入る景色は、いつだってどれも全部、色鮮やかで
世界はこんなにも綺麗だったのか、と思い知らされる
困ったように笑う君の笑顔は、目も当てられないくらい綺麗で、眩しくて
涙で視界が滲んでいく
景色がぼやけていくのに君の笑顔だけははっきりと、オレの心に、頭に、刻まれていて
眩しくて、優しくて、なんだかすごく幸せで
胸の奥が熱くなる。