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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第21章 もう一度ここから






『………っ』


零は迷いながらも、まだ持っていた合鍵で玄関の鍵をガチャ、と開けた。
瞬間、むせ返るような酒の匂いが、鼻中を刺激する。



『……っ、百…!?』

「零じゃーん!どうしたの、急に?」


名前を呼べば、慌てた様子の百が玄関から顔を出した。



『……よかった……無事だったんだ……ていうか、お酒臭っ…酔ってるの?千ちゃんが、百がトウマくんと会いにいったっきり連絡つかないって、心配してたんだよ!?』

「ああ、ごめんごめん!トウマと会った後飲み会になってさ。部屋で寝ちゃってたんだ」

『飲み会って……トウマくんはさっき生放送番組に出てたよ?』

「あ、ああ、飲んだのは、トウマじゃなくて、その後会った友達!眠たくって目があかないから、用があるなら明日にしてくれる?わざわざ来てくれたのに、ごめんね!」

『……誰と?』

「え?」

『だから、誰と飲んでたの?』

「…別に、誰でも良くない?零には関係ないでしょ?じゃあ、もっかい寝るから」

『待って、誰?言って。私に言えないような人?』



真剣にそう聞く零に、百はきゅっと唇を噛み締めてから続けた。



「……あのさ、零。オレ達、もう終わったじゃん。…何でおまえにそんなこと聞かれなくちゃならないの?」


苦笑しながら冷たくそう言う百に、零は驚いたように目を見開いてから、すぐにキッと百を睨みつけた。


『……いつもの百は、絶対そんなこと言わない。絶対何か隠してる』

「……何も隠してないって!眠くて機嫌が悪いだけだよ!零だって眠い時に起こされたら、機嫌悪くなるだろ?」

『嘘!絶対何か隠してる!!もう二度と嘘は吐かないって約束したのに!!』

「…っ、だから隠してなんかないって言ってんだろ!?あのさ、疲れてるんだ!あんまゴネると、引っ叩いちゃうよ!?」

『……百が?私を?やれるものならやってみなよ!!ほら、早く!!叩いてみなよ!!』

「………っ!!」

『ほら、やっぱりできないじゃん!!どいて!!』

「駄目だって!絶対駄目!!お願いだから帰って!ね、零お願い!!なんでもする!!い、今部屋に女の子来てるんだよ、だから今は――」

「―――そこまでだ」


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