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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第20章 掻き混ぜ零れゆく








「……天と陸が双子だってことをバラす?」



とあるひと気のない静かなバーで、百の真剣な声が小さく響いた。
隣に座っていたトウマが、神妙な面持ちで頷く。



「そうだ。あいつらのことは、業界でも気付いてるヤツらは何人かいた。バレること自体は、大きな問題じゃない。問題はそのバラし方とタイミングだ。MOPの後にネタをバラ撒かれれば、出来レースやヤラセを疑われちまう。IDOLiSH7がブラホワでTRIGGERに勝ったことさえ、仕組まれたプロモーションだと思われる。いや…思わせるように、了さんがメディアを動かす」

「……。わかった。トウマ、知らせてくれてありがとう」

「……礼を言われる事じゃない」


俯くトウマに、百は優しく訊ねた。


「どうして教えてくれたの?」

「……。あいつらの家族は関係ないだろ。このままじゃ、家族が悪く言われちまう……」

「はは……。やっぱ、いい子だな、トウマ」

「が、ガキ扱いしないでくださいよ。………!」



瞬間。

顔をあげたトウマの顔色が、青褪めた。



「…どうした?」



おそるおそる、トウマの視線の先を辿るように振り返ってみれば。



「―――やあ、トウマ!楽しそうな話をしているね!」



其処にいたのは、月雲了だった。



「……り、了さん……」

「まさか内通者が出るとはねえ。それが、おまえだとは…。驚きだよ、トウマ!」

「…っ、お、俺は……!」

「席を詰めてくれる?僕も会議に混ぜてもらっていいかな?」

「ち、違う、これは――」

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