第20章 掻き混ぜ零れゆく
「…っ、その話、なんだけどさ…。もう少しだけ待ってもらっていい…!?」
思いがけない百の言葉に、零は思わず目を見開いた。
『え?』
「……ごめん。近々、必ずちゃんと話をする時間を作るから。だから……”オレの覚悟”がちゃんとできるまで、もう少しだけ……待ってもらえないかな?」
真剣にそう言う百のまっすぐな瞳に射抜かれて。そんな風に言われたら、もう、選択肢なんてあるわけがない。
『うん、わかった』
――けれど。
百の言う”覚悟”って、なんだろう?
「ありがとう。ごめんね。……零の前では、モモは本当に弱虫だね!」
そういって困ったように笑った百は、今にも消えてしまいそうなくらい儚くて。
どうしてだろう。
何故だかこのとき―――ひどく、胸騒ぎがしたんだ。