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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第20章 掻き混ぜ零れゆく



「零にならって今年は若い子たちに任せて、その日は家で一緒に”未完成な僕ら”のアレンジをしよう。零も付き合ってくれるだろ?その方が、ファンの子も、モモも、零も、おかりんも、喜ぶでしょう?」

「ユキ、イケメン!大好き!」

『千ちゃん、超イケメン!』

「ふふ、千くんと百くんらしいですね。仕方ありません。MOPの主催に伝えておきます。」



清々しい笑顔でそう言って足早に去っていく岡崎の背中を、千が思いついたように追い駆けた。


「ちょっと、おかりんのこと送ってくる」

「え、ユキが!?」


普段なら絶対しない事に百と零が驚いていれば、千はドヤ顔で百の肩をぽん、と叩くと、岡崎の背中を早足で追い駆けていってしまった。つい先ほどまで、床でぐでぐでしていたというのに。百の足ツボが相当効いたのだろうか、なんて零が疑問に思っていれば、百が口を開いた。


「……明日から、きっと少しずつ世界が変わっていく。TRIGGERの子たちの道先も、いい方向に動いていくはずだ。」


百は言いながら、零の手をぎゅっと握った。


「大丈夫。きっと、全部うまくいく。」


百の言葉に、小さな希望が、確信に変わっていくのを感じた。百の言葉は、いつだってこうして、魔法をかけてくれる。


『うん!そうだよね。百がそう言うんだもん。うまくいく。絶対。』


笑顔でそう言った零の頭を、百はぽんぽんと優しく撫でてみせた。


「改めて、フレンズデイ、お疲れさま。零、大変だっただろ。本当に、色々とよく頑張ってくれたね。ありがとう」

『…それは、百もでしょ?百と千ちゃんがいたから、頑張れたんだよ』

「オレだってそうだよ?零と、ユキがいるから……あ、後、さ」



百はどこか言いづらそうに言いかけてから、きゅっと口を噤むと、もう一度小さく口を開いた。


「……話があるって言ってたじゃん。フレンズデイが終わった後」

『……うん』


百の言葉に、あの日の約束が蘇る。
天と約束した通り、ちゃんと、自分の気持ちを伝えようと――。

零がこくり、と息を呑めば、百が続けた。


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