第20章 掻き混ぜ零れゆく
こうして、無事Friend's Dayは幕を閉じた。
IDOLiSH7や共演者たちとの打ち上げを終え、百と千と零の三人は、千の家に集まっていた。
「…身体痛い……」
言いながら床にぐでーんと寝転がる千を見下ろしながら、百が呆れたように続いた。
「運動不足だよ。24時間立ちっぱなしだったくらいで」
『いや、百がスタミナありすぎなんだって…』
「それ。ねえ零、マッサージしてよ」
『いいよ。どこ?足?』
千の提案を快く受け入れた零が、千の背中に跨ろうとした時だった。
「……あ、ちょっと、零はいいからどいてどいて!マッサージなら俺がしてあげるから!」
慌てたようにそう言いながら、百は零を押し出すと、千の背中に跨って、足の裏をぐいっと押した。
「…っ、い、いたたたたた……っ!!」
千の悲惨な悲鳴が、部屋に木霊した。
「ここ、疲労回復の足ツボ」
百がウインクしながらそう言えば、玄関の扉が開いた音が聞こえてくる。部屋に入ってきたのは、笑顔の岡崎だった。
「お疲れ様です!ユキくん、元気そうですね!大きな声が聞こえてきましたよ」
「…強制的にアドレナリンを分泌させられて…」
「大丈夫大丈夫、エンドルフィンまで出ると痛いのも気持ちよくなるから!ドーパミンもどばっと出しちゃおう!遠慮しないで!」
「無理無理!ギブアップ…!もう零にマッサージしてなんて言わないから許して…!」
「えー?なんの事ー?」
足ツボを押そうとする百の笑顔がどことなく怖い。
叫びをあげる千を零が苦笑しながら見つめていれば、岡崎が口を開いた。
「先ほど、MOPの主催から連絡がありました。TOP3までは会場でライブを行って、WEBで生放送する予定だそうです。今年は盛り上がってますからね。スポンサーから要請があったのかもしれません」
「TOP3……。男性アイドル部門の今の順位は?」
「1位がRe:vale、2位がZOOL、3位と4位は、IDOLiSH7とTRIGGERが競っていますね。」
「MOPは一度獲れば十分じゃない?零も今年は女優業に専念したいから、辞退してたんだろう?」
『千ちゃん……うん、私は、そうしたけど…』
「ユキ…」