第19章 夜明けの譚詩曲
「―――よろしくお願いしまーす!」
「―――どうも」
『―――お久しぶりでーす』
其処に、姿を現したのは。
トウマの言った通り、Re:valeと零だった。
「やあ、了さん。スマホ二台持ちって大変。不自然な動作が多いから、怪しいと思ったんだ。三月とバトったのをあんたが機嫌よく無視した瞬間、確信したよ。あんたが何も知らなかったら、オレをからかいにきたはずだもんね。ラビチャで絶好バトルを見て満足してたんだろ」
百はそう言いながら、ウインクしてみせた。
『連絡係だったのは私だよ。寮に住んでるから、やりやすかったのなんのって』
「…なんだと…」
「どう?若社長さん。むしゃくしゃしてる?」
そう問う千を、了は思い切り睨みつけた。
「……っ、この……!」
そして、其処にゲストである環の父が現れる。が、駆け寄ってきた岡崎が彼の前に立ち塞がった。
「失礼。こちらでお話があります。大丈夫です、安心してください。Re:valeと零は人気アイドルですからね。つきまといなんかも多くて。こういうことには慣れてます。弁護士さんと一緒に、あちらでゆっくりお話しましょうね。」
優しい笑顔で流暢にそういった岡崎に、環の父は奥へ連れて行かれる。その背中を呆然と見てから、了は気づいたように口を開いた。
「…っ、なら、メイン会場では……」
『IDOLiSH7が歌います。あんたが終わらせようとしたTRIGGERの"SECRET NIGHT"を―――!』