第3章 交錯する想い
「天、大丈夫だった?」
楽屋に戻れば、龍が心配そうな顔で訊ねてきた。
「全然平気」
「いや、真逆な顔してんぞお前」
「うるさい」
「はぁ!?」
「まぁまぁ、楽、落ち着いて」
いつものように二人の仲裁に入った龍にとめられ、楽はなんとか腰を下ろす。
「ていうか、零さんの話ってなんだよ?」
「楽には関係ないでしょう」
「お前とも関係ないだろ!?零さんに初めて会って俺と龍が騒いでた時も、全然お前興味なさそうだったじゃん」
「………」
「天!お前は秘密が多すぎるんだよ!少しくらい話してくれてもいいだろ!?俺達にできることがあるかもしれねえのに」
「……そうだね。でも、この件についてはないよ」
「このガキ……!」
「楽、天!!ほら、収録始まるから」
三人は何処かぴりぴりしたまま、歌番組の収録が始まった。