第3章 交錯する想い
零以外の女性に触られたという嫌悪感で、頭がいっぱいになる。天は思わず、抱き着いてきた梢を突き飛ばしてしまった。
「ッ痛」
しまった、と我に返ってから天が梢を見れば、こちらを思い切り睨みつけている。やっと本性を出してきたか、と天は心の中であざ笑ってから口を開いた。
「……すみません。好きでもない女性に触られたものですから、つい反射的に」
「……ムカつく。テレビでは天使だなんて言われてるくせに……随分な扱いしてくれるじゃない」
「アナタのような人にだけは言われたくないですけどね。では、失礼します」
「待ちなさいよ!!」
「これ以上アナタと話すことはありませんので」
「……っ!!」
天はくるり、と背を向け、すたすたと歩いていく。
「……覚えてろ……九条天。私にこんな仕打ちをしたこと、気が狂うほど後悔させてあげる」
捨て台詞を吐いた梢を、天は冷たい瞳で睨みつけてから、踵を返した。