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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第19章 夜明けの譚詩曲





ミーティングを終え、IDORiSH7の皆が帰って静かになった部屋で、零がスマホと睨めっこしながらぽつり、と呟いた。


『ねえ、百。前のスマホのラビチャに送る文面、こんな感じでいい?』


少し距離をあけて隣に座っている百にラビチャの画面を見せれば、百がこくこくと頷く。


「うん、OK、ばっちり!これで、了さんは嘘のスタッフの配置を信じて仕掛けてくるはずだ」


それは了の企みの裏をかいた、賭けだった。

予感が確信に変わったのは、先日のNEXT Re:valeで、ZOOLが百に言った言葉だ。

―――”1111”

おそらく、了は百のラビチャを監視している。
これはそう踏んでの計画だった。百は了に監視されているであろう方のラビチャで、三月やi7のメンバーたちと縁を切ったふりをして了に不仲を確信させ、スタッフや零、千とも了を騙すための嘘のやりとりをしていたのだ。


『うまくいくといいけどね…。そういえば、新しい携帯の方のパスワードはちゃんと変えたの?』

「もちろん変えたよ!もう二度と、1111にはしないっ!!」

『ちゃんと複雑なのにした?まさか、0000とかじゃないでしょうね』

「ちょっと!!オレ、そこまで単純じゃないよ!?」

「…くくっ……、1111にしてた人がそれ言う?」


千の突っ込みに、百はむすっと頬を膨らませた。


「もうそんな単純なパスワードにはしません!!」

「へえ?でも、僕は新しいパスワード、なんとなくわかっちゃったけどね」

「嘘!?ほんとに!?」


慌てる百に、千がくすくすと笑う。


『それよりさ、言わなくてよかったの?i7の子たちに…。組織してること』


TRIGGERの監禁事件の日、三人で誓った組織のことだ。
あれ以来、三人は密かにリストを作り、信用できる人間たちと連絡を取り合っていたのだ。


「これ以上、危ないことに巻き込めないよ。このチームは協会や組合と勘違いされやすいから。そしたら、いろんな怪獣が潰しにやってくる」

『確かに、そうだね…』

「零、ユキ。二人とも、名簿、ちゃんと管理してくれてる?」

『うん!』

「してるよ」

「あはは、二人ともえらいなあ。昔はあんなに人見知りで、何人にアドレスもらっても、登録さえ面倒くさがってた零とユキがさ」

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