第18章 奏でるモノクローム
『千ちゃん、大丈夫?』
「ああ……。ありがとう」
千の背中を撫でてから、零は百に視線を向ける。
『百……ごめんね。……ありがとう』
「どうして零が謝るの?何も悪くないでしょ!ほら、後もう少し、笑顔でがんばろ!!」
『……うんっ』
百のけん制が効いたのか、その後の収録は驚くほど順調に終わった。
収録を終えたRe:valeの二人と零がセットを出れば、岡崎が笑顔で迎えてくれた。
「お疲れさまでした!はらはらしましたけど、三人ともばっちりでしたよ!」
「まあね」
「千くんのあの時のフォロー、ナイスタイミングでしたね!」
『本当に、千ちゃんっ、ありがとう…!』
「どういたしまして。零とモモのためなら、お安い御用だよ」
「あの時のユキ、超格好良かった……!」
『うんうん、超格好良かった!スタジオ中が釘付けになってたもん!』
「そう?惚れた?」
『惚れたっ、超惚れた!』
「抱かれたい?」
『うん、抱いて!』
「…くくっ、かわいいやつ」
いつものように千と零がじゃれ合っていれば、百がむすっと頬を膨らませている。百がやきもちを妬くのが可愛くて、千は度々零とこういうやり取りをするのだ。今回も例外ではない。いつ百がのってくるんだろう、なんてわくわくしながら待っているのだけど、百はなかなかのってきてくれない。今回は拗ねているというより、なんだか落ち込んでいるように見えた。途端に心配になって、千が口を開こうとしたときだった。
『あとね、今日は百が、超格好良かった…!』
「……え?」
突然の零からの言葉に、百はきょとん、と目を見開いている。
『千ちゃんも勿論超格好良かったんだけど、百も超〜っ格好良かった!!オレの前で零とユキを~のくだり、やばかった…!痺れたっ!!』
興奮しながら話す零に、百の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。