第18章 奏でるモノクローム
『百、超格好よかったよ!めちゃくちゃイケメンだった!』
「………っ!ゆ…ユキのがイケメンだよっ!」
真面目な顔で"格好よかった"を連発する零に、照れくささがマックスに到達したのか、百はぷいっと零から視線をそらしてしまった。そんな二人が可愛くて、千はくすくすと笑いをこらえるのに必死だ。
「…くくっ……」
『なんで笑ってるの?』
「…いや……君たちが可愛くて……」
『え?』
不思議そうに首を傾げる零の横で、視線をそらしていた百が気付いたように言った。
「……あ!ちょっと待ってて」
百が慌てて駆けていく。その方向をみてみれば、ZOOLの四人が控室へ入っていこうとするところだった。
「ZOOLさん!」
「……何か用?」
「オレの連絡先渡しておく。何か困ったことがあったら相談して」
「はは…。先輩ぶる気か?」
「君らが思ってるよりも、了さん、気性が危なっかしい人だから。他に相談できる人がいなかった時用に」
「……。一応、受け取っておく」
冷ややかな視線を送るメンバー達のなか、トウマだけは百の連絡先を受け取った。
「うん。格好いい歌、聴かせてくれてありがとう!」
「あなたは偽善者なんですか?」
「そうだよ、利用しちゃえばいいよ!じゃ、お疲れさま!」
そういって百は手を振りながら駆けていく。
その背中を、トウマは立ち止まったままじっと見つめていた。