第18章 奏でるモノクローム
『巳波くんは占いが得意なんだそうですねー!』
「どこに行ってもこの話題振られますね」
「いいじゃん!アイドル占い師として食っていけるよ!あっ、オレのことも人相占いしてみて!」
「八重歯のある男性は、愛嬌があると言われますが、背徳的で、不信心とも言われています」
「そうなの!?」
「そうそう。海外では吸血鬼を連想させるんだって。海外ロケの時にモモの写真を見せたら言われた」
「なるほどね!だから、この前ナギに会った時に、AB型の血は好きかって聞かれたのかー」
『好きなの?』
「今度テイスティングさせてもらう。あっ、虎於の方が吸血鬼って感じだけどね!美女をさらってっちゃいそうなイケメン!抱かれたい男ナンバーワンだもんね!」
「たいした名誉でもないな。俺の前のナンバーワンがたいしたことがなかったしな。巳波の前にナンバーツーにいた男も」
『………』
「なあ、そう思わないか?零」
突然のフリに、零が目を見開く。すかさずフォローをするように、百が口を開いた。
「あはは、さすが抱かれたい男ナンバーワンに輝いた男っ!強気っ!」
『……あはは…』
苦笑する零に、虎於が畳み掛けるように続けた。
「試してみるか?いいだろ?Re:valeの次はTRIGGER。次はZOOL。あんたほどの女はそれくらい派手じゃなきゃな」
虎於の発言に、スタジオの空気が凍りつく。冗談にしても、スキャンダルに触れるようなこの話題はさすがに対処に困りざるを得ない。百の拳が僅かに震えているのを見てから、千がすかさず口を開いた。
「じゃあ、僕は?」
「………」
「たいした男じゃない?」
千が、虎於を見つめながら言った。
普段の千とは少し違う。それは妙に色っぽくて、先ほどまで凍りついていたスタジオ中が嘘みたいに千に釘付けになっていた。
「……おま……」
「こら……焦るなよ。つまらない言葉を言う前に、ようく見て、確かめてごらん。いいか、だめか…。のるか、そるか。怖がることはないさ。際どい話が、したいんだろう?」
艶っぽい表情と声は、観客を、スタッフをも、次々と魅了していく。