第18章 奏でるモノクローム
二人の夫婦漫才に、ぱちぱちと拍手が沸き起こる。場が和んだところで、百がCMの掛け声をいれた。
「ZOOLさん、あきれないで!頑張ってついてきてね!ここで一旦CM!」
「――CM入りまーす!」
スタッフの掛け声に、百はふう、と一息ついてからZOOLに向かって口を開いた。
「あのさ、ZOOLさん。君たちのファンが楽しみにして見てるんだよ。オレたちにムカついててもいいけど、ファンのために、ちゃんとしてよ」
「ふん。オレたちのファンなんか、おまえたちには関係ないだろ」
「あるよ。オレたちの番組を見てる人たちは、オレらのお客さんでもある。みんなが楽しめる番組にしたいんだ。オレとユキと零だけで、一時間まわせるよ。その間、ずっと置物になってんの?じゃあ、なんでこの仕事受けたの。オレたちを食うために来たんじゃないの」
「食ってただろ?」
『みんなを不愉快にしただけでしょう』
百の隣から聞こえてきた言葉に、悠が思い切り零を睨みつける。
「………」
『相手を不愉快にした方が勝ちなんて勝負は、この世で一番くだらないものだよ』
零の鋭い言葉に、虎於の口から「ヒュウ」とひやかしが起こる。百は零を宥めるように肩にぽんぽんと手を置いてから、口を開いた。
「はい!モモちゃんと零ちゃんからのお説教はここまで!CM明けたら、予定通り振るからね!ちょっと急ぎ足になるけどよろしく!」
「もういいんじゃないですか、みなさん」
巳波の声に、黙っていたZOOLの面々が口を開き始める。
「そうだな。零の怒った顔も見れたことだし」
『………』
口の端をあげながらそう言う虎於を零が睨みつけていれば、百がひょこっと零の顔を覗きこんだ。
『……百』
「怒った顔も可愛いけど、やっぱり零は笑顔が一番可愛いよ!ほら、笑って!変顔する?」
『……。ううん、ごめん。大丈夫、笑える!』
そんな会話をしていれば、あっという間にCMが明ける。
説教が効いたのか、先程まで黙っていたZOOLのメンバーが、途端に会話に参加し始めた。