第18章 奏でるモノクローム
「…はは…、ちょっとちょっと。うちのお姫様はシャイだから、あんまり怖がらせないであげて。それに!胸については禁句だから!」
百が冗談めかしく言いながら、虎於の腕をやんわりと零の顎から離した。虎於はじっと零を見つめていて、零は顕著に顔を歪めながら百の後ろにさっと隠れる。
『……セクハラ発言反対です!』
百の後ろでそういう零の言葉にも、虎於は全く動じていない様子だ。
「……今のは御堂さんが悪いですよ」
「そうか?あんなにドストレートな好みの女は初めてだ。俺に惚れないかな?」
「今の発言したあとじゃ無理だろ……」
呆れる巳波とトウマの横で、虎於は堂々と口を開く。
「まあいい。大人しく俺たちにリードされてれば、いじめないでやるぜ。Re:vale。……零」
「へえ」
「期待しちゃうね」
『………』
不穏な空気の流れるスタジオで、いよいよ収録が始まったのだった。