第18章 奏でるモノクローム
衣装に着替え終わったRe:valeの二人と零が撮影セットまで向かえば、そこには既にZOOLの四人が座っていた。
普段ならば撮影が始まる前に、ゲストの方から挨拶に来るのが暗黙のルールなのだが、彼らはRe:valeのところにも、零のところにも、挨拶には来なかった。
けれど、そんなことは予想していたことだ。百はすかさず駆け寄って、ZOOLに声を掛ける。
「おはようございまーす!ZOOLさん、よろしくね!」
「あ……。1111……」
「芸能人なのに、パスワードが緩いやつ」
挨拶に答えようとはせずに、虎於と悠が百を指差して言った。
『……なんで百のパスワード知ってるの』
後ろで聞いていた零がぼそり、と呟けば、百が振り返って小さく首を横に振った。零は不審そうに顔を歪めたけれど、すぐに笑顔を取り繕ってZOOLの四人に頭を下げた。
「よう、Re:vale!折原零!御無沙汰だったな!!」
「狗丸さん、力みすぎでは……」
巴波の声など聞こえていないかのように、トウマは力みながら続けた。
「ブラホワ総合優勝者と準優勝者だからって、遠慮はしないぜ!!千、百、折原零、覚えとくんだな!!」
『お、おう……?(あれ…トウマくんってこんなキャラだったっけ…?)』
「零……おうって……くくっ…」
零の間抜けな返事にひとしきり笑ってから、千はコホン、と咳払いをして、トウマに向かって口を開いた。
「……NO_MADのトウマくん」
「お…、俺のこと覚えてるのか?Re:valeの千が…?」
「忘れたことはないよ」
「……。そうか……」
トウマのまんざらでもなさそうな返事に、零と百はよし!とアイコンタクトを送り合う。