第18章 奏でるモノクローム
――放送日、当日。
『おはようございまーす』
Re:valeに呼ばれていた零が控室に入れば、何やら百と千は真剣な表情で資料と睨めっこしていた。
「おはよう。零」
『おはよう。何を真剣に読んでるの?』
零が不思議そうに二人の側まで近寄れば、百が気付いたように振り返る。百はどうやらZOOLのプロフィールに目を通していたようだ。
「零、おはよ!今日もよろしくね!」
『おはよ。それ、ZOOLのプロフィール?』
「そうそう。モモ、これ全部読み込んできたんだって」
『え!!』
「了さんのお気に入りつったって、あの子たちは、あの子たちで頑張ってるし。あの子たちのファンは楽しみにしてるからね!」
百の言葉に、零と千は同時に顔を見合わせる。
「……僕たちも読もうか」
『……そうだね、今からでも遅くないよね』
焦り始める二人に代わって、横で話を聞いていた岡崎が口を開く。
「百くんの姿勢はとても立派です!でも、向こうが礼儀を欠いたときは、遠慮は無用ですからね!」
「大丈夫。そういうときに遠慮したことないから」
「オレも」
千と百の答えに、零は思わず苦笑した。どんなに普段仲が良いとはいえ、彼らはベテランであって、アイドル界のトップに君臨する王者だ。こういう時に感じる風格やオーラは、やっぱり只ならないものがあって…。正直言うと、少し、怖かったりする。
『さ、さすが……』
「て、テレビに映せる範囲でお願いします!」
威圧感を出す二人にビビる零と岡崎の横で、百が続ける。
「ほら、ユキも零もちゃんと覚えてよ。狗丸トウマくん、顔知ってるでしょ?NO_MADの時会ったじゃない」
『うん、わかるよ!一昨年のブラホワの時に会ったよね?』
「そうそう!」
「そうだっけ……」
「ユキは本当に顔覚えるの苦手だよね…。声かけてあげなよ。ユキに覚えられていたら、みんな、嬉しいよ!」
「わかった」