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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第18章 奏でるモノクローム




―――秋も徐々に深まってきた、或る日のことだった。


小鳥遊プロダクションの事務所の社長室では、零と万理と音晴が真剣な面持ちで話し込んでいた。


「……業界中が注目するだろうね。どちらがより相手を食って、どちらが視聴者の反響がいいか」


音晴が、真剣な顔つきで言った。


「ZOOLがRe:valeを上回れば、様子見をしていた人たちが一気にZOOLを推し始めるだろう」


音晴の言葉に、零は手に持っていた資料を見つめながらこくりと喉を鳴らす。

今週のNEXT Re:valeの特番に、ZOOLがゲスト出演することになったのだ。それも特番のため、生放送という条件付きで。


「はい。岡崎さんも、色々なところで言われたそうです。頼むから砦を守ってくれと」


零の隣に座っていた万理が続く。


「ZOOLとツクモの勢いを止めるためには、Re:valeは勝って当たり前。そして、ZOOLと同等の若いグループが彼らに勝つしかない」

「…今年のブラホワ、JIMAから勝ち上がって出場するのはZOOLでしょうね」

「十中八九ね。そうなると」

『……前年の勝者のIDORiSH7とZOOLが勝負することになる……』

「その通り」


音晴の返事に、不安そうに放送資料を見ていた零が気付いたように顔をあげた。


『そっか……。じゃあ、i7の子たちがいい空気の中でZOOLと戦えるように、この一戦はなんとしてでも死守しなきゃじゃん…!』


零の顔からはもう不安は消えているようだった。後輩を守る、なんていう正義感は、おそらく百から授かったものなのだろう。音晴は、逞しく成長した零に微笑みながら、口を開いた。


「さすが、うちの看板娘だ。IDORiSH7は、本当にいい先輩を持ったね」


音晴の言葉に、万理が零の肩をぽんぽんと優しく叩きながら続く。


「うん、その意気だ。確かに生放送は少し怖いけど、千と百くんがついてる。三人で、長いことこの番組を守ってきたんだから。あの二人と並ぶMCとして、もっと自信と誇りを持って」

『ありがとうございます……。信頼してくれてる人たちのためにも、百と千ちゃんのためにも、i7のためにも。今回の放送、必ず成功させてみせます』


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