• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第18章 奏でるモノクローム



天に手を引かれたまま部屋のなかに入れば、楽と龍が嬉しそうに出迎えてくれた。


「おお!マジで来てくれたのか!」

「零ちゃん、いらっしゃい!来てくれてありがとう」

「……はしゃぎすぎ」


楽と龍に冷たい言葉を放ってから、天はそっと零の手を離した。


『お邪魔しまーす!綺麗な部屋だね!どう?三人暮らしは?』

「「最悪」」


楽と天の言葉が見事に被る。


「エアコンや風呂の温度設定だけでも、議論が絶えないんだ。にぎやかで実家にいるみたいだよ」


龍が和やかにいえば、楽と天が続く。


「こいつ、換気扇の強度、よわ・ちゅう・つよって言うんだぜ」

「楽の方が紛らわしい。お風呂、追い炊きしとけじゃなくて風呂燃しとけって」


ばちばちと火花を飛ばしながら言い争う楽と天に、ぷっと吹き出す零。


「ね?賑やかだろ?」

『うん、すごく楽しそう』

「「楽しくない」」


息のぴったりな楽と天に笑ってから、零は手に持っていた紙袋を差し出した。


『あ、これ、大したものじゃないんだけど。よかったらみんなで食べて』

「え、いいんですか!?この前もあんなに差し入れもらったばかりなのに…」

「悪いな、いつもいつも…。ありがとな」

『ううん、全然!…で、こっちは天。はい』


もう片方の手に持っていた紙袋を差し出せば、天は目を見開いた。


「……本当に作ってくれたの?」

『むしろ昨日の冗談だったの!?』

「……冗談じゃないけど…」


白い頬をほんのり桃色に染めながら、天は紙袋をそっと受け取る。そんな天の様子を、龍と楽がじーっと見つめていた。

/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp