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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第18章 奏でるモノクローム





「ごめんね、二人とも。遅くなって」


待ち合わせ場所のバーに着けば、既に千と百はカウンターに並んで座っていて。万理の声に気付いた二人がバースツールを回転させ振り返ると、同時に目を見開いた。


「バンさん…っ!あ…零とは別ですか?」

「あれ、万、零は?」


二人で同時にそう問うものだから、思わず笑みが零れてしまう。万理は困ったように笑ってから、二人の隣に腰掛けた。


「……急な予定が入っちゃって。これなくなっちゃったんだ。連絡入ってるはずだけど」


万理の言葉に、百と千が慌ててスマホを確認してみれば。


「…本当だ」

「…あ……」


顕著に寂しそうに眉根を寄せる二人に、万理はくすくすと笑う。


「随分寂しそうだね、二人とも」

「そっ…そんなことないです!!バンさんに会えてめちゃめちゃハッピーなのに!!」

「うん。そんなことないと思うよ」

「思うよ、って…おまえは随分あからさまだな…。千、おまえ、俺のブーム去ったんだろ」

「そう?そんなことない。大好きだよ」

「正しくは喧嘩の後の仲直りモード。べったべたに僕気を使ってますアピールをする期間」

「わかる!する…!でも、いつの間にかそのモード飽きて止めてる…!」


そんな他愛のない会話をしながら、乾杯の声と共にグラスを交える。
しばらく話をしていれば、先ほどから携帯を気にしている百に万理が話し掛けた。


「百くん」

「…はいっ!?」

「あはは、そんな緊張しなくていいよ。仕事の連絡?」

「あ……いや……、ごめんなさい、オレ…携帯なんか気にして」


言いながら百は困ったように笑って、携帯をポケットの中に突っ込んだ。

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