• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第17章 雨と月と輪舞曲を




『だって、ファンのみんなが天に会いたがってるもん。TRIGGERに会いたがってる。すごく、すごく。……私も、ずっとそうだった。わかるよ、だって……』

「だって……?」

『私は、天のファン第一号だから』



そういって、零は幸せそうに笑った。



―――ボクは今でも、キミを幸せにすることができたんだね。


ボクの歌で、ボクのダンスで、ボクの声で。

キミが幸せな気持ちになってくれる。



―――それは、子供の頃からの夢だった。


零の前で歌って踊りながら、スターの気分だった。目立ちたいとか、注目を浴びたいとか、そういう意味のスターじゃない。

零が、幸せそうな顔で笑うんだ。天、すごいねって。かっこいいねって。

キミを幸せにする存在に変身する、そんな感覚に酔いしれた。

自分の時間と命を無心で捧げる情熱を知った。それはいつしか、自分自身の意志へと変わっていった。

ボクの歌う姿が、誰かの目に映って、その人の胸を震わせて笑顔にする瞬間が欲しい。奉仕や献身じゃない。ボクの望みなんだって。


それを教えてくれたのは。
人を幸せにする歓びを教えてくれたのは。

他の誰でもない、キミだった。



あの時から、ボクの気持ちは――少しも変わっちゃいないんだ。




「……ボクはTRIGGERを終わらせたくない。TRIGGERを望む人がいる限り、ボクらを失って悲しむ人がいる限り歌い続けていたい。歌い続けなきゃ。ボクらを応援してくれたことを後悔させたくない」

『うん!TRIGGERは終わらない。……天は永遠に、私のスターだもん』



―――キミが、ボクを星だと言ってくれるのなら。


暗い夜道でも、キミが迷わず歩けるように

きみの頭上で輝いていよう。

約束するよ、キミが望むなら、ボクは星にでも、虹にでもなろう。


だから、ずっと見上げていて


キミが道に迷わないように

キミの歩く道を照らし続けよう



キミという光を頼りに生きてきた今までのボクのように

今度はボクが、キミの光になろう



もう迷うことなんてない。


世界が終わるその日まで、ステージに立って歌い続けるよ。


どこにいても、ちゃんとキミに届くように。

/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp