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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第17章 雨と月と輪舞曲を




「……!了さん……」

『……!!』

「あ……。はじめまして。彼女のマネージャーをしております――」

「わあ!かわいいポニーテールだ。へえ、マネージャー?イケメンなのに?もったいない!」


万理の言葉を遮るように言ってから了は愉しそうに笑うと、睨むように自分を見ている零に視線を落とした。


「相変わらず可愛いねえ、零。いつになったら首輪をつけてくれるの?」


言いながら、了が零に手を伸ばした瞬間だった。


「……零に触んじゃねえよ……っ!!」


百の怒声が、廊下に響く。
万理は驚いたように、きょとん、と目を見開いている。


「…も、百くん……!?」

「あっ!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!小鳥遊プロさんのタレントさんなのに、オレ、偉そうなこと言っちゃって…!」

「いや!それはいいけど、そちらの……」


万理が困ったように視線を向ければ、冷ややかな笑みを浮かべている了が百を見ていた。


「……MK5だよ、モモ……」

「なんだよ、それ!?」

「マジでキレる五秒前」


笑顔でそう言う了の腕を、百がぐいっと引っ張った。


「零!バンさんと早く行って!!……来いよ、了さん!」

『あ、ちょっと待って…!!百!!』


行こうとする百の腕を、零が掴めば。
それは思い切り振り払われた。


『………っ』

「早く行けよ!」

『……わか…った……』


消え入りそうな零の声が、聞こえていたかはわからない。
百は血走った瞳で了の腕を引いたまま、廊下を走っていってしまった。

零は振り払われた手を握ったまま、ただ、そこに立ち尽くしていた。


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