第17章 雨と月と輪舞曲を
「謝らないで。百くんも心配だったから、きつめに言ったつもりだったんだ」
「わかってます。すみません、本当に……」
「謝らなくていいって言ってるのに。今日は、Re:valeの番組?ゲスト出演?」
「ゲストの方です。り……、オレとユキさんの、その、5周年的な……」
『………』
「俺の前で、Re:valeを名乗ることをためらわなくていいんだよ。Re:valeは千と百くんなんだから。堂々と名乗っていいんだ」
「……でも…」
「そんな顔しないで。君たちのファンだって言ったじゃないか。千ばかりじゃなく俺とも仲良くして。俺もずっと、百くんと話したかったんだよ」
「お…オレもです!オレもずっと、バンさんと、いろんなこと、話したかったです……」
「じゃあ、話そうよ。いっぱい話して、友達になろう。零ちゃん、今度百くんと千といつも飲んでる場所に連れて行ってよ」
『はいっ!!もちろんです』
「…っ、はい……。ありがとうございます…!」
「あはは。じゃあ、さっそくだけど敬語はやめてよ。千には普通に話すだろ?」
「ええ!?無理ですよ!?」
「無理じゃないって。ほら。零ちゃんからも言ってあげて」
『…頑張れ、百』
「そんな……。……じゃ、じゃあ……。ば……万理……」
「呼び捨てにしろとは言ってない」
「ひゃあああ…!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!なんで勘違いしたんだろ、オレ!?」
「あはは、冗談冗談。好きに呼んで」
『………(万理さんの冗談、わかりにくくてたまに怖いよ……)』
百と万理の会話を聞きながら、零がそんなことを思っていれば。
後ろから、声が掛かる。
「――やあ、モモ!零!久しぶりだね!」
そこにいたのは、月雲了だった。