• テキストサイズ

スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第16章 アダムとイヴの林檎





「……間に合わせてあげられなかった」


ゼロアリーナの見える海沿いで、悔しそうに百が言った。


「拉致の証拠はいくつか集まった」

『そうだよ。楽のパパがツクモを訴える時に役に立つはず!』

「個人の犯行、ストーカーで通されたら、了さんにまで手が届かないよ…。…オレたちの番組で、TRIGGERを守ってあげたいけど、そうしたらスタッフに迷惑がかかる。どうすれば……」


俯く百に、零が思いついたように口を開く。


『じゃあ、作っちゃえばいいじゃん。うちらで』

「え……?」

『現代の千葉サロン』


零の言葉に、百は目を見開く。
いい案だ、とぼやきながら千が続いた。


「ひとりひとり反抗しても潰される。だけど、ツクモのやり方に不満を抱いている人は必ずいる。なら、零の言う通り、組織すればいい」

「……できると思う?」

「僕は無理だけど、モモなら。運動部だって作ったんだ。その人脈だってある。できるさ。ねえ、零」

『うん!』

「……危ない橋だよ。零とユキを巻き込むかもしれない。そんな危険な橋は、渡りたくない」


そういって俯く百の背中を、零がぽんぽんと優しく叩いた。



/ 552ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp