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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第3章 交錯する想い




今日一日の収録を終え、TRIGGERの三人は楽屋で束の間の休憩を取っていたところだった。
楽屋にあるテレビを見ながら、十龍之介が口を開く。


「そういえば、天、山南梢さんと仲が良いんだって?」

「……は?龍、急に何?」

「あ、いや、テレビで言ってたから」


唐突な龍の質問に、天は盛大に眉根を寄せた。


――山南梢。確か、黒川芸能事務所の最近売出し中の女性アイドルだ。何度か共演していて、顔と名前は知っている程度だったけれど。

先日の音楽番組の収録の後、スタジオ裏のモニターを見ていれば、話し掛けられた。けれど、モニターに映っていたのが、幼馴染の――零だったから。ボクは話し掛けてきた山南梢を見ようともせずに、モニターで歌う零のことを見つめていた。

モニターから目を離そうとしなかったボクに痺れを切らしたのか、彼女は言った。


「好きなんですか?」


不機嫌そうな声音。
最初に話しかけてきた猫撫で声とはずいぶん違って、なんだか可笑しかった。


「ああ、うん。彼女のファンなんだ。昔から」


ボクがそう言えば、山南梢は、随分と不機嫌そうな顔をしていた。


「九条さん、ああいう人が好きなんだ」


彼女の言い方に、少し苛立った。
ああいう人?何、その言い方。キミは零の何を知ってるの?って。だから、本当の事を言ってやった。


「そうだね。すごく好み。それじゃあ、失礼します」

「あ、待っ」



―――確か、こんなやり取りをしたのが二週間ほど前。
まさか、この時のことの仕返し?だとしたら、なんて幼稚な仕返しだろうか。ちゃんちゃら可笑しくて笑えてしまう。


天ははぁ、とため息をついてから、龍に向かって口を開いた。


「仲良いわけがないでしょう。ボクが迂闊に女の子と関わるなんて本気で思ってるの?」

「えっ……いや、思わなかったからこそ意外だったっていうか」

「天、お前昨日のNEXT Re:valeの生放送まだ見てないのかよ 」


八乙女楽が口を挟めば、天は眉間の皺を更に深く刻みながら答える。


「録画はしたけど、まだ見てない。それが何?」

「山南梢さんが、天と仲が良いって言ってたんだよ……」

「は?」


天の顔が、みるみるうちに不機嫌さを増していく。龍は苦笑しながら続けた。

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