第16章 アダムとイヴの林檎
TRIGGERの三人を元気づけよう、という百の提案で、百と千と零の三人はTRIGGERの控室を訪れたあと、別スタジオのRe:valeの控室でタブレットを囲んでいた。
今日は、騒ぎが起きてから初めてTRIGGERの三人が公の生放送番組に出る日だった。
ミスター下岡の音楽番組が始まり、三人は息を呑む。ミスター下岡はTRIGGERに好意的だったし、ここで流れが変わればいい、と。けれど、そんな願いも虚しく――。
ミスター下岡がスキャンダルを匂わせる発言をした。慌てて三月がフォローしたが、スタジオには終始緊張した空気が流れているのが画面越しにも伝わってくる。
『そんな……』
「……下岡ちゃん……」
顕著に顔を歪める零と百に、千が言いづらそうに口を開いた。
「……下岡さんには、家族も、たくさんのお弟子さんもいる。TRIGGERもわかってるんだろうな……」
「大和の時は、相手が星影だった…。それにみんなが叩きにくい、世界的に有名な俳優さんが相手だった。だけど、今回はツクモより下の八乙女プロが相手だ」
『……さらに、大義名分として恩のある事務所から有名歌手を引き抜いたってエピソードがついてる』
「真実か真実じゃないかは別として、了さんの指示に心理的に従いやすいんだよ。じゃあ、しょうがないかって」
百の言葉に、千が続く。
「反発を抱いている人たちもいるはずだ」
「もちろん、いるよ。そういう人たちと連絡を取り合って……」
そう言いかけた、時だった。
控室の扉がガチャ、と音を立てて開く。
そこには、NEXT Re:valeの番組プロデューサーが立っていて。