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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第16章 アダムとイヴの林檎





翌日から、街やメディアは華々しいデビューを飾ったZOOLの話題で溢れ返っていた。

TRIGGERの件で沈下しかけていたアイドルブームを盛り返すような、それはまるでTRIGGERとZOOLのコマをすり替えるような、そんな形で――。






「社長、大変です!!」


八乙女事務所の社長室で、姉鷺の悲鳴が響いた。


「……今度は何だ」

「花巻すみれから社長と二人で話したいと連絡があったんです…。今回の件で反省して、パニックを起こしていて」

「事務所に来いと伝えろ」

「マスコミから守るために、彼女は都内のホテルに宿泊しています。マスコミが怖いから、部屋に来てほしいと…」

「馬鹿か!そんなわかりやすいトラップに引っかかるものか!」

「でも……。死にたいって……」

「こっちが死にたいぐらいだ!仕方ない。事務所の女子社員を連れて…」

「今日は休日ですから事務員はお休みです。私がこっそり同行しましょうか?」

「いや……おまえはだめだろ」


八乙女の言葉に、きょとんとする姉鷺。


「どうしてですか?」

「男か女かよくわからないじゃないか」

「まあ、失礼!!セクハラですわ!!私の王子様ならそんなこと言わないのに!!」


急に怒り出す姉鷺をなだめるように、八乙女が続ける。


「わかった!私が悪かった!だが、私一人で行くわけにはいかない…。事務所に来るよう説得してくれ」

「十分、説得しました。社長が一人で来てくれないなら、もう死ぬって…」

「口だけだろう?」

「わかりません…。追い詰められているのは本当ですから」


八乙女は険しい表情で”車を用意しろ”と姉鷺に静かに言った。


「……行くんですか?」

「人命には変えられない」

「社長……。ホテルのフロアに人員を配置します。社長に不名誉な写真は決して撮らせません」

「頼む」


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