第3章 交錯する想い
「お疲れ様でしたー! 山南さん、今日はありがとね!また来てね!」
「こちらこそありがとうございました!またよろしくお願いします!」
梢に挨拶をした後で、百が零の肩をがしっと組む。
「今日も三人でご飯行くでしょ?何食べたい?焼肉行っちゃいますか!」
「前回も肉だったじゃないか。今日は野菜ね」
「ええー!」
百と千の会話を聞きながら、零は梢からの視線を感じていた。収録中もずっと感じていた、どこか含みのある鋭い視線。そんな彼女と目が合えば、彼女はにっこりと微笑んだ。
『………(気にしすぎ、だよね)。山南さん、お疲れ様でした!』
零の声に、梢はぺこり、とお辞儀をしてスタジオを去って行った。
「零、何かあった?」
『え?何もないよ!お腹すいてるだけ!』
「そう?」
『うん!』
百の問いに、元気いっぱいに答える零。そんな零を見つめてから、千が仕方なさそうに口を開いた。
「じゃあ、今日は零に免じて肉でいいよ」
「『ほんと!?』」
「うん」
「千ってば超イケメン!」
『千ちゃん大好き!』
「知ってる」
そんなやり取りを終えRe:valeの二人と地下駐車場で待ち合わせをしてから、着替えるために零は自分の楽屋へと戻る。すると、楽屋の前に一人の女の子が立っていた。
『……山南さん?』
「あ!零さん!お疲れ様です!すみません、楽屋の前で待ち伏せなんてしちゃって」
『いえ、全然……何かありました?』
「その、図々しいことは重々承知してるんですけど……」
梢はもじもじとしながら、スカートのポケットから携帯を取り出した。
「よかったら連絡先教えてもらってもいいですか!?その、私まだデビューしたばかりで、芸能界にお友達全然いなくて……」
『あ…は、はい!私なんかでよければ、喜んで』
零がそういえば、梢は嬉しそうに顔を緩めて頭を下げた。