第14章 追憶の幻想曲
―――天が、ゼロの歌を歌う。
環も、女の子も、少しずつ、機嫌が良くなっていく
”ずっと一緒にはいられないんだ”
天の言った言葉は、まるで、自分たちのことを言っているようだった
今ここにいる13人は、それぞれの夢を掲げて、違う世界を生きている
今は同じ場所で笑っているけれど、今日みたいな日は、二度と来ないかもしれない
今夜は特別な夜なんだ――――。
そんな思いを胸に、13人はそれぞれの課題に取り組んだ。
そして。
一生に一度の記念日のような、楽しい毎日の時間のような。
スペシャルだけれど、ありふれていて。
自分や誰かを力づけたいと願っている、自分たちそのものをメッセージにして届けるような―――そんな歌が完成した。
千が出来上がった曲を流す。
みんなは静かに聞き入ってから、曲が終わったのと同時に立ち上がり拍手を送った。
「いい曲じゃないですか!!Friends dayっぽい!」
「早く全員で歌いたいな!」
「素敵な歌です!昨日聴かせてもらったところから、こんな形になるなんて!」
「Friends dayがもっと、もっと楽しみになりました!みんなで歌うの初めてですよね?」
「事務所やグループの垣根を越えて歌いましょう」
「音楽でみんなと繋がり合うんだ。俺たちだけじゃなく、チャリティレンソンに参加したすべての人と――」
―――こうして、13人の思いが詰まった、最高のテーマソングが完成した。
だけど
この歌を、TRIGGERが歌うことはなかった―――。