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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第14章 追憶の幻想曲




「あれ?陸くん、どうしたの?」

「大和さんたちが連れてきた子が、肝試し協力してくれるって!」


陸は入院生活が長かったため、霊と会話が出来るらしい。


「首筋に息を吹きかけたりできるみたいです!」

「わっ!本当だ!?寒気が…!」

「さすがだな……すみません、お礼もできませんで」

「お礼はカレーでいいって!」

「今もこちらにいらっしゃるの?」

「今はお風呂場で肝試しの予行練習してくるって」


そして、お風呂場からは次々と悲鳴が聞こえてくる。


「ぎゃあああああ!?」

「わああああ……!!」

「いきなり電気が消えて水が出た!?」

「誰かに足を踏まれたんですけど!?」


楽と一織の悲鳴に、壮五と龍之介は顔を見合わせた。


「凄腕だ」

「本物の仕事は一味違いますね」


関心している二人の横で、環が涙目になりながら零の後ろに張り付いている。


「もうやだ!うち帰る!だから肝試しやだっつったじゃん!零りん~~」

『嫌がってる子がいるんだから、いじめちゃ駄目でしょ?』

「ううっ……優しいの零りんだけだよ……」


そんな環に、壮五が宙吊りになったまま申し訳なさそうに口を開いた。


「ごめんね。張り切りすぎちゃって…」

「うるせえ!逆さ吊りになってんじゃねえ!うっ、うっ……」

『よしよし。男の子なんだから、泣かないよ、大丈夫』


ぎゃあぎゃあ騒いでいる声を聞きつけた天が、眉根を寄せながら陸に問う。


「陸、その子はまだいるの?」

「うん」

「もう遅いから帰ってもらいなさい」

「帰りたくないって」

「だめだよ。ボクらは住む世界が違うんだから。ずっと一緒にはいられないんだ」

「………」

「ありがとうって伝えて。ちゃんと礼儀正しくお別れして」

「最後に歌聴きたいって。ゼロのファンだったって言ってる」

「いいよ。ゼロの歌を歌ってあげる。―――今夜はありがとう」


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