第14章 追憶の幻想曲
「「「『ただいま……』」」」
ボロボロの姿で帰ってきた四人に、龍之介が驚いた声をあげる。
「どうしたんだ!?みんな、ボロボロになって……」
「ミツが迷って茂みに突っ込んで……」
「千さんがもう歩きたくないって言うからヒッチハイクして……」
「トラックの運転手さんに、僕の後ろに女の子がいるって言われて……」
『追い払うことなんて出来ないし、一緒に乗ってきて……』
瞬間、環が「ぎゃー!!おばけ!!」と悲鳴をあげた。
「OH!アメージング!レディがお越しくださったのですね。14人分のディナーを用意しましょう!」
ナギの言葉に、環がおそるおそる口を開く。
「ナギっちは女の子なら生身でも生身じゃなくてもいいの……?」
「ジェントルマンの鑑だね!それより零、どうしたのその格好!?上着きてたよね!?」
カレーを作っていた百がエプロンをつけたまま、零の元へ駆け寄ってきた。
『いや、ヒッチハイ――むぐっ』
言いかけた零の口を、千が後ろから両手で押さえつけた。
「僕が寒がってたら上着を貸してくれたんだよ。な、零」
『~~~~!!』
口を押さえ付けられたままうんうんと頷く零に、百は感動したように右手で口元を押さえながら言った。
「マジ!?零ってば、超イケメン……!!」
そんな光景に冷ややかな視線を送る大和と三月。
「どうせ後で映像見たらバレんぞ……」
「さすがにカットになるだろうけどな……」
そんな会話をしている横で、夜のお楽しみ係である陸・龍之介・壮五の三人が肝試しの打ち合わせをしていた。
「肝試しってやったことないな。僕らは皆を驚かせればいいのかな?」
「別荘の庭が広いから、木の陰に隠れてわっと驚かそうか」
「それでは、僕は逆さ吊りになってます」
そう言って張り切って宙吊りになる壮五に、龍之介が関心していれば。