第14章 追憶の幻想曲
「ねえ……本当にこの道で合ってるの?」
茂みの中で、千が言った。
「…合ってますよ!地図の通りに進んでますし!」
「いや……どう考えても迷っただろ、これ」
『………』
買い出しに出かけたはずの四人は、帰り道で見事迷子になっていた。
「おい、ミツ!!どうすんだよ!?何処だよここ!!」
「知らねーよっ!!確かに茂みに突っ込んだのは俺だけど、こっちでいいって結局賛成してくれただろ!?」
『か、痒い……めっちゃ蚊にさされた……』
「僕も……。もう歩きたくない……。零、ヒッチハイクしてきてよ」
「千さん、あんたさりげなく最低な発言したな…女の子をだしにするとか」
大和が千の発言に盛大に突っ込む。
『でも、このままじゃ帰れなくなっちゃうしね…うん、しよう!ヒッチハイク!』
「マジかよ……」
「でもさ、よくよく考えてみればヒッチハイクに捕まった奴、超ラッキーじゃん!?零ちゃんと一緒の車に乗れるんだぜ!?」
「そうそう。三月くんの言う通り。そういうこと」
「あんたら都合良く解釈しすぎな!?」
大和の突っ込みも虚しく、なくなく近くの道路に出た一向は、とりあえず零を先頭にして、道路に一列に並んでみた。
『……ヒッチハイクってどうやるの?』
零がぼそりと呟けば、三月が答える。
「親指を立てて、道路沿いでアピールすればいいんじゃねーか?」
「スケッチブックみたいなのは持ってねぇしな。親指立てて、手振ってみるとか?」
続いた大和に、やれやれといったように千が肩を落とした。
「駄目だよ、それじゃアピールが足りない。零、脱いで」
「「『は!?!?』」」
「パーカーだよ。脱いで、これ」
千は言いながら零のパーカーを脱がせる。タンクトップ姿になった零に、千はうんうんと満足そうに頷いた。