第14章 追憶の幻想曲
「OH!!零の寝顔が見れると聞いて飛んできました!」
「ほんとだー!零りん、寝てる!!」
ナギと環が乱入してきて、どたばたと一織と三月が後ろから追いかけてきた。
「ちょっと、あなたたち何やってるんですか!?撮影中ですよ!?」
「NO!写真に収めます!邪魔しないでイオリ!」
「なあなあ!零りんの顔に落書きしていい!?」
「駄目に決まってんだろ!?女性アイドルの寝顔に落書きなんてして喜ぶのお前だけだぞ!?」
ぎゃあぎゃあと騒がしくなる部屋で、天はそっと立ち上がる。そんな天の腕を、百がぎゅっと掴んだ。
「……天、待って。ちゃんと話そう、オレは」
「百さん、仕事中ですよ。今は集中しましょう」
天はそういって、みんながいる方へと戻って行ってしまった。
「………天」
百の小さな声は、喧噪の中にそっとかき消された。