第14章 追憶の幻想曲
「………モモ?」
「………ユキ。オレ、見つけちゃった。今」
「え?」
―――気づけば走り出して、オレはその子の腕を掴んでた。
「――待って!!」
驚く彼女と目が合って、思わず息を飲む。
怯むな、オレ!頑張れ、オレ!って、心の中で自分にエールを送ったよ。
「あの………オレ達の…っ、Re:valeの、MVに出てくれませんか!?」
『え………?』
大きく見開かれたその瞳に、吸い込まれてしまいそうだと思った。
しばらく見つめ合ってから、首を傾げた彼女にはっと我に返る。
「ご、ごめん……!びっくりしたよね…あの、驚かせるつもりじゃ…その、マネージャーさんも、突然すみません!」
彼女の隣に立っていた優しそうな男性に慌てて謝れば。
「あはは、僕はマネージャーじゃないよ。これでも一応社長なんだ」
「ええっ!?す、すみません…!オレってば、とんだ失礼を…!!」
――そのとき、彼女が笑ったんだ。
頬を桃色に上気させて、大きな目を細めて。まるで、花が咲いたみたいに。
その瞬間、心臓を鷲掴みにされたような、そんな感覚に襲われた。
大丈夫!?おれの心臓、動いてる!?って、心配になっちゃったくらい。
時間が止まったみたいに、彼女の笑顔から、目が離せなかった。
まるで、解けない魔法にかけられたみたいに―――。