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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第14章 追憶の幻想曲





「………モモ?」

「………ユキ。オレ、見つけちゃった。今」

「え?」



―――気づけば走り出して、オレはその子の腕を掴んでた。




「――待って!!」


驚く彼女と目が合って、思わず息を飲む。

怯むな、オレ!頑張れ、オレ!って、心の中で自分にエールを送ったよ。



「あの………オレ達の…っ、Re:valeの、MVに出てくれませんか!?」

『え………?』



大きく見開かれたその瞳に、吸い込まれてしまいそうだと思った。

しばらく見つめ合ってから、首を傾げた彼女にはっと我に返る。



「ご、ごめん……!びっくりしたよね…あの、驚かせるつもりじゃ…その、マネージャーさんも、突然すみません!」


彼女の隣に立っていた優しそうな男性に慌てて謝れば。


「あはは、僕はマネージャーじゃないよ。これでも一応社長なんだ」

「ええっ!?す、すみません…!オレってば、とんだ失礼を…!!」




――そのとき、彼女が笑ったんだ。


頬を桃色に上気させて、大きな目を細めて。まるで、花が咲いたみたいに。



その瞬間、心臓を鷲掴みにされたような、そんな感覚に襲われた。

大丈夫!?おれの心臓、動いてる!?って、心配になっちゃったくらい。


時間が止まったみたいに、彼女の笑顔から、目が離せなかった。


まるで、解けない魔法にかけられたみたいに―――。




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