第14章 追憶の幻想曲
「いいじゃないすか、今日くらい。なあ、零!」
『あ、ちょっと揺らさないでよ楽!』
零の肩を抱く楽。名前を呼び合う二人の様子に、百は眉根を寄せた。
「あれ……楽と零、何時の間にそんなに仲良く……?」
「おい、八乙女!うちの姫様に馴れ馴れしく触んな!」
「いいじゃん、肩抱くくらい」
しっしっと楽の手を払う大和にぶつぶつと文句を言ってから、楽は気付いたように百と零の顔を交互に見てから訊ねた。
「そういえば、百さんと零って、何がきっかけで出会ったんだ?」
「あ、それ俺も気になる」
「僕も是非…是非聞きたいです!」
「オレも気になってた!やっぱりあの伝説のMVですか?でも、あのMVに零ちゃんが出ることになった経緯って?」
楽の問いに、のってくる大和と壮五と三月。
百はきょとん、としてから、仕方なさそうに笑った。
「あはは。それ聞いちゃう?」
「話してあげたら?モモ」
こつん、と肘で小突きながら千が言う。百は眉を下げて笑いながら、昔を懐かしむように口を開いた。
「いいよ。あれはね―――」
瞳を輝かせ興味津々な成人組のメンバーを見ながら、百はゆっくりと零との出会いを話し始めた。