第14章 追憶の幻想曲
「―――以上が、”Friends Day”のおおまかな企画内容だ」
あけぼのテレビ局の会議室では、Friends Dayに出演するタレントと番組に携わるスタッフたちが集められ、会議が行われていた。
慄いてしまうほどの豪華なメンバーを見渡しながら、制作局長が続ける。
「忘れないで欲しいのは番組の趣旨だ。チーフプロデューサー、わかりやすく説明を頼む」
「はい。チャリティレンソンは、困っている人を助けることが目的です。一日でみんなを助けることはできないけれど、困っている人がいることを日本中に伝えることはできる。けれど、関心のない人に伝えるのは簡単じゃない。君たちにお願いしたいのは、真面目で難しい問題を、とっつきやすく、親しみをもって、紹介することだ。Friends dayの名前の通りにね!チャリティレンソンを継続していくには、数字的な成功も必要です。その点でも、今をときめく君たちの力を借りたいんです。さっき、さらっと触れたけど……資料の企画ページにある事前後方の欄だね」
チーフプロデューサーの言葉を遮るように、千が口を開いた。
「あのさ……」
「なんです?」
「……僕、さっき、ちらっと見て、ぎょっとしたんだけど」
そこには、「”Friends Day”テーマソング<24時間制作合宿>」と書かれていて。
「……”24時間でテーマソング作っちゃいます。作曲、Re:vale。作詞、零。振付け、TRIGGER、衣装デザイン、IDORiSH7”………」
「な、何故私達が衣装デザインに!?」
驚く一織に、チーフプロデューサーは笑顔で続ける。
「あ、衣装と言ってもTシャツの柄をデザインするんだ。センス良くね!」
にこにこと笑っているチーフプロデューサーを横目に、龍之介がおそるおそる口を開いた。
「振付って…?自分たちで決めるのか?13人分?フォーメーションも?」
「だって、これ、曲が先に出来ないと振りも無理だろ?無理ですよね、千さん」
「……24時間……できるわけないじゃん……」
千が顔を歪めながら、隣に座っている零を見れば。
彼女は既に絶望的な顔で資料を見つめながら、石のように固まっていた。
「………」