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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第14章 追憶の幻想曲





「おめでとうございます!チャリティレンソン”Friends Day”のメインパーソナリティ、正式に決定しましたよ!」


岡崎事務所では、岡崎の明るい声が響いていた。


「ありがとう。大仕事だけど頑張るよ。……ね、モモ」

「……あ、うん!勿論!オレとユキならこなせるよ!」


百の空元気に、千と岡崎は顔を見合わせる。

零との一件以来、百はずっとこの調子だった。決して落ち込んでいる姿は見せないし、泣き言は愚か弱音だって一言だって吐かない。けれど、いつもどこか上の空で、空元気の中で無理して笑っているのが、二人には見て取れた。


「……モモ……」

「……あれ?下岡さん、出ないの……?」


共演者リストを見つめながら、百が言った。


「なんでも、お体の調子が悪いそうで、ご辞退されたそうですよ」


岡崎の言葉に、百は眉を顰める。


「そうなんだ?下岡ちゃん、発起人の谷山さんのお弟子さんなのに。前に一緒になった時は、死ぬまでずっと、五分でもいいから出させてもらいたいって、言ってたんだよ」

「……毎年出演が恒例だった人も、何人か見ないな」

「……あ……。ツクモ所属の有名な人がいないんだ」

「なるほどね……。どっちにしろ眠れない夜になるね」

「こんなの爆弾仕掛けましたって言われてるのも同然じゃんか……。あの野郎……」




徐々に狂い始めた歯車の脅威が、刻一刻と彼等に迫っていた。


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