第14章 追憶の幻想曲
「………」
世間は今まさにアイドルブームであり、確実に視聴率が取れる面子を揃えたくなる製作者側の気持ちも理解はできる。
その上チャリティレンソンは毎年高視聴率。視聴者の年齢層も幅広く、歴代のパーソナリティは記録にも残る。
番組のイメージがいいので、優良スポンサーが付きやすく予算も潤沢。IDORiSH7にはメリットしか生まないが……。こけら落としに、続けざまの共演では、価値が安く消化されてしまうのではないだろうか、と一織は不安に思っていた。
「大変なお仕事になると思いますが、どうか、よろしくお願いします!」
一織の心配を余所に、紡の言葉にやる気を見せているメンバーたち。
そんな彼らを見つめながら、一織は小さくため息を吐いたのだった。