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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター





『―――百っ!!』


スタジオを飛び出してしばらく道なりに走れば、寂しげな背中を視線の先に見付けて、思い切り叫んだ。


『待って……!!百……!!』


いつもだったら、こっちに向かって走ってきてくれるのに。振り返った百は、そこに立ち止まったまま。困ったように笑ってた。



「……零、どうしたの?そんなに走って」

『…っ百が……来てたって、聞いたから……っ』

「……そっか……」

『ねえ、どうしたの…?私に会いに来てくれたんじゃなかったの…?』


百は困ったように笑いながら、一度俯いて、小さく口を開いた。


「……話があってさ」

『話?何?』

「………」


しばらくの間を置いてから、百の口から出てきた言葉に思わず目を見開いた。



「……オレたち、友達に戻った方がいいと思うんだ」



その言葉を聞いた瞬間、頭が、真っ白になった。



『……え?急に………何で……?』

「………。……辛いんだ……。零が、天のことを好きだって、本当は気付いてた。オレはずるい奴だ。知らないふりをして、零の傍にいた。…そんな自分が、嫌になったんだ」

『………なに、を…』

「……これ以上、自分を嫌いになりたくない。これ以上、零にかっこ悪いところを見られたくない。……男の子はさ、いくつになったって、好きな女の子の前ではカッコつけていたいものなんだ。だから――」




だから―――。



” 友達に戻ろう ”




ゆっくりと、その言葉が頭の中で何度も、何度もリピートされる。

百の言葉に、頭が、心が、理解が、追いついていかない。

なんで?どうして?

百が忘れさせてくれるんじゃなかったの?

一緒に進んでくれるんじゃなかったの?



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