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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター




『……ごめん、天……。私、行かなきゃ……百が……百が、泣いてるかもって……』

「………うん」

『ごめん……後で、ちゃんと話そうっ…!』


天の返事を聞かずに、取り乱した様子の零は休憩室を飛び出した。

遠くなっていく彼女の華奢な背中を見えなくなるまで目で追ってから、天は思う。





―――百さんのことは、追いかけるんだね。



ボクがどんなに願っても。

どんなに望んでも。

どんなに説得しようとも。


キミはボクのことを、追いかけてはくれなかった。


離ればなれになることがわかっても。

彼女はあの時、自分の道を選んだ。



ボクはたとえ、陸やTRIGGERのメンバーが死にかけようとも。……零が死にかけようとも。

世界が終ろうとも。

ステージの上で踊り続ける。




でも、きっと。


百さんは。

すべてを投げ打ってでも

零を助けに行くんだろう
零の元へ駆けつけるんだろう


世界が終わるその時まで、ずっとキミの傍に寄り添うんだろう


百さんはいつだって、ボクにできないことを簡単にしてみせる

危険もリスクも立場も省みずに、腕っぷしだけで零を助けて

恋敵であるボクに、零との関係を一生懸命仲直りさせようとして

自分だって辛いはずなのに、いつもにこにこ笑顔で笑ってて



――例えるなら、百さんは太陽だ。


どんな時でも、道を間違えないように照らしてくれる

どんよりとした曇り空でも、雲の隙間から太陽が覗くだけで、嘘みたいに辺り一面明るくなるんだ

そうやってみんなを笑顔にしてくれる


眩しくて、美しくて。





―――零。


キミを愛してくれてるその人は、何があってもキミの傍にいるよ

キミの手を離すことでしかキミを守れなかったボクと違って

その人は、何があったってキミのそばで、キミを守ってくれる


百さんは―――――そんな人だ。



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