第13章 ロストロングラブレター
「さっき言った台詞が、本当だって言ったらどうする?キミは、笑う?」
言っている意味を理解するまでに、少し時間がかかった。
――さっき言った台詞?アドリブだって言ったあの台詞?
あれが、本当だったら?
ずっと、好きだったって――?
「――零ちゃん!やっと見つけた…っ」
突然掛かった声に、驚いて顔をあげれば。
休憩室の前に、息を切らした万理が立っていて。
『……万理さん?』
「ごめんね、突然……っ。百くん、ここに来てない?」
『え?百……?』
「うん……。零ちゃんには言わないでって言われたんだけど…。やっぱり心配だから…」
『百が来てたんですか?ここに?』
「来てた筈なんだ。俺が呼んだんだけど、さっき電話が掛かってきて、突然帰りますって。泣きそうな声で……」
万理の言葉に、零は勢いよく立ち上がった。
『………っ』
―――泣きそうな声?
百は今、泣きそうな顔をしているの?
なんで?どうして?
泣きそうな顔で無理して笑っている百の顔が脳裏に浮かんで、もう、居ても立ってもいられなかった。