第3章 交錯する想い
「ああっ!ちょっと百くん!セットした髪が台無しじゃないですか!」
慌ただしく聞こえてきた声の主が、眼鏡を直しながら小走りで駆け寄ってくる。Re:valeが所属する岡崎事務所のマネージャー、岡崎凛人だ。
『おかりんおはよー!』
「零ちゃん、おはようございます!今日も見目麗しいほどにお美しいですね!あ、そうそう。この前のオフに会えなかったとかで、百くんが落ち込んで大変だったんですよ」
『あー…、ごめん。事務所のレクがあって。百の電話しつこくて、電源切ってたんだ』
「えっ!?電池切れたって言ってなかった!?故意に切ってたの!?」
『げ、口が滑った』
「……ぷっ……」
「ひどい!モモちゃん泣きそう!!」
笑いをこらえる千に、ぷんぷん怒りだす百。
「事務所のレクですか!いいですね、そういうの!何したんですか?」
『バーベキュー!後ね、釣りもした。その時、初めて百と遊んでてよかったーって思った』
「ちょっと零!オレのガラスのハートが壊れそう!」
「くくっ……」
ついに吹き出す千。
怒る百をスルーして、岡崎が続ける。
「バーベキューに釣りですか…。楽しそうですね!うちも企画してみようかな!」
『うん、いいと思う!人見知りの私が打ち解けられたくらいだし。あ、あと初めて王様ゲームしたよ』
「「王様ゲーム!?」」
岡崎と百の声が、見事に重なった。
「王様ゲームしたの?零も?」
慌てふためく二人に変わって千が冷静に尋ねれば、零は笑顔で頷いた。
『酔っ払っちゃってあんま覚えてないんだけど楽しかった気がする。千ちゃんも王様ゲームしたことあるの?』
「あるよ。大人のやつ。どんな事したの?」
『?大人のやつ?』
「そこは突っ込まないでいいから!ユキも余計なこと言わないで!で、何したの!?」
千を押し退けて、百はぐいっと零に顔を近づけた。先ほどまで、わんわん!なんて言ってふざけてたのが嘘みたいに真剣な顔だ。