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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター



「隣、いい?」


げんなりしていれば、いつの間にか天が自分を見下ろしていて。


『どっ…どうぞ…』

「……随分、余所余所しいね」

『それ、天が言う!?パーティの時、びっくりしたよ…!営業スマイルで”お久しぶりです、七瀬さん、零さん”とか言っちゃって…』

「仕方ないでしょう。周りの目もあるんだから」

『別に身内の前でだったらいいじゃんっ』

「零はそういうところが甘いんだよ。陸も」

『天が完璧主義すぎるんだよ!』

「キミは色々抜けすぎてるよね」

『うるさいなぁ…!』


睨むように見上げれば、天はくすくすと笑っていて。


『………』

「変わらないね、零は」


天は言いながら、零の隣に腰掛けた。


『…天の変わりようはすごいけどね……』

「そう?ボクも変わってないよ」

『変わりました!今の台詞、陸が聞いたら発狂するよ』


こうして天と話すことが、なんだか、ひどく懐かしく感じる。

再会してから今まで何度か話してはいるのに。毎回、懐かしくて、久しぶりに感じるのは何故だろう。


「じゃあ、何が変わったの?教えて」

『え?何がって…。なんか、二重人格になったところ…?』

「二重人格なわけじゃないから。仕事用とプライベートで分けてるだけでしょう」

『……毒舌で意地悪で生意気で……いや、それは昔から変わってないか…』

「何、喧嘩したいの?」

『違うよっ!!』

「悪口ばっかり。いいところはないの?」

『……んー……顔が天使!』


零の答えに、天は恨めし気に零を見つめた。


「……それだけ?」

『え…いや、他にもいっぱいあるよ?本当はすっごい優しくて、いつも助けにきてくれて…悩んでると、いつもなんでも解決してくれて……』

「………」

『歌も、ダンスも……見惚れちゃうくらい上手なとことか……なんだかんだわがまま聞いてくれるところとか、仕方なさそうに笑う顔とか……たまに可愛いとことか、カッコいいとことか!ていうか、全部!あはは……っ、考えてみれば、天に悪いところなんて、一つもないや!』


零の言葉に、天はきょとん、と目を見開いてから、ぷいっと顔を逸らした。天の白い頬は僅かに桃色に染まっていて、長い睫毛を伏せながら小さく口を開いた。
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