第13章 ロストロングラブレター
なんだか、無性に百に会いたくなった。そんな風に思っている自分に驚いて、無意識にももりんのボタンを押してしまった自分に、二重で驚く。
『うわっ……!』
思わず声が出てしまって、慌てて口を両手で塞いだ。
そのとき、後ろから声がした。
「ぷっ……」
『!?』
振り返れば、入口に天が立っていて。
『……天!?』
「何してるの。ドジなのは相変わらずみたいだね」
『(見られてた…!?)』
恥ずかしさで熱くなる顔をごまかすように、自販機から出てきたももりんを慌てて取り出して、早々とベンチに腰掛けた。
「間違えて買っちゃったんでしょう。替えてあげる。何飲む?コーラ?」
『……間違えてないし!!ももりんが飲みたかったの!』
「………。そう」
冷ややかな天の対応に、意地を張ったことを盛大に後悔しながらももりんに口をつける。天のことだから、すべてお見通しなんだろう。
さっきの撮影でのアドリブシーンに加えて、こんなださいところを見られて、なんだか余計に気まずかった。