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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター




「…おかりん、何?」

「千くん……。”零とモモだって似合ってるよ”じゃなくて、”零とモモの方が似合ってるよ”でしょう!!あれじゃフォローになってないよ!?」

「え……」


顕著に顔を歪める千に、岡崎はやれやれとため息を溢した。


「百くん、大丈夫かなぁ……。零ちゃんのドラマの撮影が始まってから、元気がないというか」

「……そうね。百は自分のことになると抱え込む癖があるから。なんとかしてあげたいんだけど……。あ」


千は思いついたように言ってから、スマホを出して電話をかけ始めた。


「………もしもし」

≪もしもし?何の用?≫

「何の用ってことないだろ。元相方に向かって」


千が電話を掛けたのは、万理だった。


≪何。今撮影で忙しいんだよ≫

「冷たいな……。零のドラマ見たよ。すごく良かった」

≪ああ、ありがとう。……いや、それ俺じゃなくて零ちゃんに直接言えよ≫

「万、モモが寂しがってるんだ。なんとかできない?」

≪え?百くんが?……それは問題だな。うん、なんとかスケジュール調整してみるよ≫

「なんか…僕とモモとの扱いの差すごくない?」

≪何が?……あ、今日モモくんは何してるの?明日は久しぶりに午後からで、今日はもうスタジオでVチェックだけなんだ≫

「そうなの?じゃあ万からモモに言ってあげてよ」

≪わかった。今からモモくんに連絡してみるよ。零ちゃんも喜ぶ。それじゃ≫


ブチ、とそのまま電話は切られてしまった。
千はむすっとした表情でスマホを見つめてから、ぶっきらぼうにテーブルに置いた。

しばらくしてから、応接間のドアが開いた。


「ユキ、おかりん!オレ、ちょっと出てくるね!」

「零ちゃんと会うんですか?」

「うん、今バンさんから連絡があって。スタジオにおいでって言ってくれた!」



嬉しそうに笑っている百の姿を見て、千はほっと胸を撫で下ろした。



「……頑張れ、モモ。」


―――いつものように。モモと零の幸せそうな笑顔を、早く僕にも見せてね。


そんなことを思いながら、千と岡崎は百の背中を見送った。


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