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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター




「天くん、お疲れ様!すごくよかったよ!明日もよろしくね!」

「ありがとうございます。はい、よろしくお願いします」



撮影を終えて、スタッフに挨拶をしていれば。
ふと、端の方へと駆けていく零の姿を視界に捉えた。

無意識に目で追っていれば、彼女は何やら誰かに電話をかけ始めて。

照れたり、笑ったり、怒ったり、くるくると表情を変えながら誰かと会話をして電話を切った。


―――電話の相手が誰か、なんて。

彼女の表情でわかってしまう自分に、どうしようもなく嫌になる。

随分幸せそうな顔で笑うんだね。いつからそんな艶っぽい表情ができるようになったの?なんて、心の奥底から沸々と湧き上がってくる醜い感情を必死に抑え込む。





「――天、帰るわよ」


姉鷺マネージャーから掛かった声に、漸く我に返る。

彼女の遠くなっていく背中を見つめてから、重い足取りで踵を返した。


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