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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第13章 ロストロングラブレター




零の瞳はきらきらと輝いて、なんだかラムネの中で光るビー玉みたいだった。そして、さっきまで落ち込んでいたのが嘘みたいに、キミは笑った。花が咲いたような、そんな笑顔で。



『うん…っ私、天のお嫁さんになる!』

「ほんとに?約束だよ?」

『うん。約束だよ!』






―――今でも、この約束を信じていると言ったら。キミは笑う?


今思えば、随分マセた子供だよね。
今でも自分の言った台詞は鮮明に覚えていて、思い出す度に恥ずかしくてたまらなくなる。

小さい頃の口約束を未だに信じているなんて、側から見れば笑い者だ。

でも。

優しいキミのことだから。


世界中の誰が笑ったって

キミだけは、ボクを笑わない気がするんだ。












「―――天!ちょっと、天!」


名前を呼ぶ声に、ハッと我に返る。
慌てて顔をあげて見れば、心配そうな表情で姉鷺マネージャーが顔を覗き込んでいた。


「ちょっと、大丈夫?具合が優れないとかじゃないわよね?クランクイン、今日からなのよ?」

「……すみません。少し考え事をしていただけです」

「そう?アナタ最近、ボーッとしてること多いわよ。どうしたの?」


なんでもない、と笑顔を返してマネージャーを安心させてから、車の窓から流れる景色に目を向けた。


急遽零との連続ドラマが決まってから、どこか心ここに在らずだった。

ただでさえ今までだって彼女のことばかり考えていたというのに、まさかドラマで、想い合っていた幼馴染役として共演することになるなんて。

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